この記事では、胚移植当日の流れについて書いていきます。
※スケジュールや内容は病院によって異なります。
胚移植の方法
はじめて胚移植をされる方のために、簡単に説明をします。
胚移植とは、体外で受精させた受精卵(胚)を、子宮に戻す作業のことです。
胚移植は、戻す受精卵の種類によって「新鮮胚移植」「凍結胚移植」「初期胚移植」「胚盤胞移植」など、呼び方が変わります。
また、飲み薬や貼り薬などのホルモン剤を使って、内膜を着床に適した状態に調整する方法を「ホルモン補充周期」と言います。
この記事で紹介するのは、ホルモン剤を使わず、自然に起こる排卵に合わせて胚移植を行う「自然周期」です。
どんな受精卵の胚移植でも、方法は同じです。
腹部エコーで子宮を見ながら、膣から子宮まで細いチューブを入れ、そこから受精卵を注入します。
胚移植当日の流れ(自然周期)
エコーで移植日を決定
まずは、生理開始から10〜13日ぐらいに受診し、経膣エコーで卵胞の大きさを見ます。
すでに排卵済みになっていると移植できないので、自然周期の場合、何度か病院を受診することになります。
卵胞が20mmを超えると、排卵間近なのでhCGの注射を打ちます。
hCGを打った2日後が排卵日になるので、初期胚なら排卵日から3日後、胚盤胞なら5日後、という感じで移植日が決まります。
排卵日がわかったら、排卵日から黄体ホルモンのお薬(デュファストンやルトラール)を飲みます。
このお薬は妊娠判定日まで飲み、妊娠していると9週目くらいまで飲み続けます。
前日も当日も、食事制限はありません。
胚移植当日の持ち物とスケジュール
持ち物
・飲み水500ml
・生理用ショーツ
・ナプキン
・基礎体温表や同意書・予約表など

13時30分、病院に到着。
受付をして呼ばれるまで待ちます。
13時45分、培養士の説明。
移植の前に、培養士による胚の説明があります。
融解した胚の状態や、胚のグレードの説明などをしてくれます。
14時ごろ、リカバリールームへ。
リカバリールームに移動して、用意されている服に着替えます。
Tシャツや肌着は着ていてOKです。
下はパンツも脱ぎます。
生理用ショーツにナプキンをセットして、服のポケットに入れておきます。

一度トイレに行って、持参した水を飲みながら、移植の時間まで待ちます。
この待機時間に、尿を溜めます!
「尿溜め」については、下の記事を参考にしてください。
時間が近づいてきたら、髪の毛が出ないようにキャップを被ります。
15時、胚移植開始。
診察台に上がると、膣内を洗浄して、腹部エコーで子宮の位置を確認しながら、カテーテルを入れます。
洗浄やカテーテルを入れる時に、たまに痛い時があります。
医者の腕にもよると思うけど、緊張して力が入っていると余計に痛いので、力を抜いてリラックスします。
私が通っている病院では、エコーの画面を見せてもらえるので、胚が子宮に入る瞬間を見ることができます。
受精卵は小さすぎて、エコーには映らないのですが、受精卵と一緒に培養液も入れるので、入った瞬間はキラリと白い影が光ります。
流れ星みたいで、ちょっと感動。
無事に胚が子宮に入ったら、そのままの姿勢で5分くらい休みます。
リカバリールームに戻るときは、ナプキンをつけた生理用ショーツをはいて、車椅子で戻ります。
リカバリールームに戻ると、「プロゲストンデポー」という筋肉注射を打ちます。
この注射は、黄体ホルモンのお薬で、着床を助ける働きがあります。
大事な注射ですが、結構痛くて、次の日まで痛みが残ることもあります。
後は、病室で薬をもらったら、着替えて帰る準備をします。
16時25分、お会計をして帰宅。
胚移植後の過ごし方
当日は、感染症を予防するために、湯船にはつからずシャワーで済ませます。
自然周期で胚移植をしても、移植の後は、黄体ホルモンのお薬(デュファストン)を妊娠判定の日まで飲みます。
もし妊娠していなくても、デュファストンを飲んでいる間は、生理が来ません。
妊娠判定で陰性だったら、デュファストンの服用をやめるので、2〜3日後に生理が来ます。
妊娠判定で陽性が出たら、デュファストンは妊娠9週目くらいまで飲み続けることになります。
胚移植後は、特に安静にする必要はなく、基本的には普段通りの生活をします。
詳しいことは、こちらの記事でも紹介しています。
初期胚は3〜4日後、胚盤胞は1〜2日後に着床します。
着床するときは、できるだけ激しく動くようなことは避けて、ストレスのない緩やかな生活をした方がいいですね。
まとめ
私は、辛い不妊治療の中でも、胚移植は結構好きです。
私が通っている病院では、培養士からの説明の時に、融解したばかりの胚の写真を見せてもらえます。
そのあと、移植する時に、移植直前の胚の写真を見せてもらうのですが、ほんの数時間でも形が変わっていたりします。
こんなに小さいのに「生きているんだな」と、感動してしまいます。
もしもこの胚移植で妊娠したら、実質的にはお腹に命が宿った日になります。
「我が子との共同生活がスタートする日だ」と考えると、ちょっとワクワクしませんか?
これから胚移植をする人は、楽しむつもりで挑んでくださいね。